3年ぶりの日本開催となった国際プラスチックフェア(3年前はコロナ禍で中止でしたので、6年ぶり?)が開催されました。展示会事務局のIT/IoT企画展示にIAFとして協力させていただき、「手作りIoTでカーボンニュートラルに挑戦」コーナーで、中小成形事業者がDIYで取り組めるIoTを活用して、成形品の製品一個あたりのCO2排出量(原単位)を求めるPoCを実施しました。
IPF Japan 2023 国際プラスチックフェアーは、プラスチック製品製造の専門展。原材料や添加剤から成形機や成形関連機器、成形 加工技術、リサイクル機器まで、日本はもとより世界中から出展企業が集る幕張メッセ 1~8ホールを使った巨大な展示会です。
IAFとして協力させていただいた企画展示におけるIAF ia-cloudの企画展示での、「手作りIoTでカーボンニュートラルに挑戦」コーナーの概要をレポートします
プラスチック成形製造工程のモデリングアプローチ
IAFのモデリングWGではモデルベースアプローチの取り組みとして、具体的対象の製造工程にプラスチック成形工程を取り上げ、工程のモデルをシステムモデリング言語のSysMLで記述する活動を行っております。この取り組みでの一つのユースケースとして原単位CPFの算出を取り上げてシーケンス図を作成しました。
成形品一個あたりのCFP(カーボンフットプリント)ー製品原単位のCO2排出量ーを求める
成形工程のワークセルでの成形関連設備の消費電力をその製品指図ごとに計測集計し、さらに工場全体の付帯設備での消費電力のワークセルへの寄与分を按分で算出します。これらの総合計に電力供給会社のCO2排出係数をかけることで、GHGプロトコルSCOPE2に相当するCFPを求めることができます。
さらに、成形材料のCO2原単位(CO2-kg/kg)と材料の使用量・取数・リサイクル材率から原材料由来のCPF(SCOPE3カテゴリー1相当)を一個あたりで求めて先のSCOPE2相当のCPFと合算することで、成形品の工場出荷時点でのCPFを求めることができます。実際には物流その他の間接工程でのCO2排出等も合算する必要がありますが、Pthfinder Networkなどで言うところのCradle-to-Gate(ゆりかごから出荷まで)のCFPとなると考えることができます。
中小成形業者さんで実際に実証実験(PoC)をやってみた
前述の考え方に基づき、中小成形業者さんで実際に実証実験(PoC)をやってみました。厚木の有限会社UMエンジニアリング様、立川の泰興物産様のワークセルをお借りし実際にセンサを取り付け、手作りIoTでしてみました。
関連設備の電力計測は単相の電流のみを計測し定格電圧と想定した力率から消費電力を求める簡易計測や、設備の稼働状況をタワーライトセンサで取得し、あらかじめ計測しておいたその動作状態の平均消費電力を推定するなど、手作りで簡単にできるIoT手法を組み合わせて用いました。
DIY手作りIoTを実現する、ia-cloud・Node-REDプラットフォーム
今回のPoCでは、IAF ia-cloudプロジェクトが開発・推進する
DIYで手作りできるIoTプラットフォーム「ia-cloud・Node-RED」
を全面的に活用しています。ia-cloudは、Web・クラウドの標準API技術であるRESTとWebscketを利用した製造業における通信と情報共有の技術標準・プラットフォームです。Node-REDはIBMが開発し現在はオープンソースとして公開・開発されており、日立・シーメンス・シュナイダーなど内外の産業システムベンダーで活用されているIoTアプリケーション開発のノーコード・ローコードツールです。
ia-cloudは、Web・クラウドの標準API技術であるRESTとWebscketを利用した製造業における通信と情報共有の技術標準・プラットフォームです。Node-REDはIBMが開発し現在はオープンソースとして公開・開発されており、日立・シーメンス・シュナイダーなど内外の産業システムベンダーで活用されているIoTアプリケーション開発のノーコード・ローコードツールです。ia-cloudプロジェクトでは、ia-cloudのAPI規格や情報モデルにマッチNode-REDのカスタムノード(Node-REDの機能ブロックをノードと呼びます。)多数開発しオープンソースで交換することで、ノーコードでの製造現場の手作りIoT貢献しています。
ia-cloud・Node-REDによるエッジアプリケーションやダッシュボードアプリケーションの開発方法は、以下のサイト
にあります、また、過去のオンラインハンズオンワークショップの時の動画とハンズオン資料が、
ia-cloud・Node-REDオンラインハンズオンWSを開催しました
にあります。ia-cloud・Node-REDはオープンソースのプラットフォームですので、商用利用を含めて自由にお使いいただけます。また、ia-cloudのクラウドサービスも1年間の無料体験サイトがオープンしています。こちらから申し込みできます。
PoCで活用したセンサ・エッジデバイスとia-cloud・Node-REDノード
今回のPoCでは、いろいろなia-cloud・Node-RED対応センサやエッジデバイスを使用しました。二つの、通信方式の異なるバッテリーレスで配線工事不要の電流センサを中心に、タワーライトの点灯状態から設備の稼働状態を取得するタワーライトセンサ、外部トリガー信号の前後の動画を記録するイベントカメラ、正確な電力測定が可能なModbus通信付きの電力計など、ia-cloud・Node-REDでノーコードで簡単にクラウドデータ収集アプリケーションが作成できるものです。ia-cloud・NodeREDでは、三菱シーケンサやModebusPLCを初めとするModbus通信対応機器、シュナイダータッチパネル表示器、温度調節計やGrovePIセンサなど、多くのセンサや計測機器をノーコードで利用することができます。
こちらにノーコードの開発方法などのチュートリアルがあります。
新たにリリースされた、ia-cloudオブジェクトとOPC-UAとの相互変換Node-REDノードもデモしました。これは、ia-cloudオブジェクト(ia-cloud・Node-REDで収集したデータ)をOPC-UAサーバとして公開する機能と、OPC-UAサーバが公開しているOPC-UAデータをia-cloudオブジェクトに変換し、クラウドへ届けることができる機能を持った、OPC-UAのNode-REDノードのコンパニオンノードです。
ia-cloudプロジェクトメンバが開発・販売するエクセルのOPC-UAクライアントプラグインとデモしました。